利息法による利息の配分
借手のリース料は、利息相当額部分とリース負債の元本返済額部分とに区分し、前者を支払利息、後者をリース負債の返済として処理します(適用指針第38項)。利息相当額の総額は、リース開始日における借手のリース料とリース負債の計上額との差額です。
各期への配分は、原則として利息法によります(会計基準第36項)。利息法では、各期の利息相当額をリース負債の未返済元本残高に一定の利率を乗じて算定します(適用指針第39項)。
設例9-1(月額1,000千円、5年、年8%、リース負債49,318千円)の返済スケジュールの冒頭は次のとおりです。
| 回 | 返済日 | 前月末元本 | 支払 | 元本分 | 利息分 | 月末元本 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | X1.4.30 | 49,318 | 1,000 | 671 | 329 | 48,647 |
| 2 | X1.5.31 | 48,647 | 1,000 | 675 | 325 | 47,972 |
| 3 | X1.6.30 | 47,972 | 1,000 | 681 | 319 | 47,291 |
| … | … | … | … | … | … | … |
| 60 | X6.3.31 | 993 | 1,000 | 993 | 7 | ― |
| 合計 | 60,000 | 49,318 | 10,682 | |||
単位:千円。1回目の利息分は 49,318 × 8% × 1/12 = 329。
利息は残高が大きい期間の初めほど多く、終わりに近づくほど少なくなります。使用権資産総額に重要性が乏しい場合は、利息を定額で配分する方法なども認められています(短期リース・少額リースと重要性)。
使用権資産の償却
使用権資産の償却は、所有権が借手に移転すると認められるリースかどうかで異なります。
| 所有権が借手に移転すると認められるリース | それ以外のリース | |
|---|---|---|
| 該当するもの | ①契約期間終了後又は中途で所有権が移転する ②購入オプションの行使が合理的に確実 ③特別仕様で、借手によってのみ使用されることが明らか (適用指針第43項) | ①〜③のいずれにも該当しないリース(不動産賃貸借の多くはこちら) |
| 償却方法 | 原資産を自ら所有していた場合と同一の方法 | 定額法等から企業の実態に応じて選択 |
| 耐用年数 | 経済的使用可能予測期間 | 原則として借手のリース期間 |
| 残存価額 | 合理的な見積額 | ゼロ |
| 根拠 | 会計基準第37項 | 会計基準第38項 |
所有権移転以外のリースでも、実態に応じて借手のリース期間より短い耐用年数で償却することは妨げられません(会計基準BC47項)。
毎月・四半期の仕訳の例
設例9-1で、第1四半期末(X1年6月30日)の仕訳は次のとおりです。
X1年6月30日(第3回支払日・第1四半期決算日)(単位:千円)
| (借)リース負債 | 681 | (貸)現金預金 | 1,000 |
| 支払利息 | 319 | ||
| (借)減価償却費 | 2,466 | (貸)減価償却累計額 | 2,466 |
減価償却費は 49,318 × 1年/5年 × 3か月/12か月 = 2,466千円です。支払が後払い(翌月初払い)で決算日に支払日が到来していない場合は、経過利息を未払利息として計上します(設例9-2)。
変動リース料の取扱い
指数又はレートに応じて決まる変動リース料は、指数・レートが変動し、そのことにより今後支払うリース料に変動が生じたときにのみ、残りのリース期間にわたってリース料とリース負債を修正し、修正額を使用権資産に加減します(適用指針第48項)。
設例13では、CPIが20%上昇して年額リース料が50,000千円から60,000千円に見直されたため、残り9回分のリース負債を450,000千円から540,000千円に修正し、差額90,000千円を使用権資産に加算しています(割引の影響は無視)。
一方、売上高に連動するリース料など、リース負債に含めなかった変動リース料は、発生時に損益に計上します(適用指針第51項)。設例13では、売上高800,000千円の1%にあたる8,000千円を支払リース料として計上しています。
損益への影響
オペレーティング・リースとして賃貸借処理していたリースをオンバランスすると、損益計算書では支払リース料に代わり、減価償却費(多くは定額)と支払利息(初めほど多い)が計上されます。そのため、同じリースでも、リース期間の前半は費用が大きく、後半は小さくなります。また、支払利息は営業外費用に計上されることが多いため、営業利益やEBITDAにも影響します。
理解度チェック
売上高に連動する賃料
(リース負債に含めていない
変動リース料)は、
どう処理しますか?
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答え:A リース負債に含めなかった借手の変動リース料は、発生時に損益に計上します(適用指針第51項)。指数又はレートに応じて決まる変動リース料は、リース負債に含めます。
本記事は、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(いずれも2024年9月13日 企業会計基準委員会)をもとにした一般的な解説です。個別の取引への当てはめは、事実と状況に応じて判断が必要です。判断に迷う場合は、新リース会計適用支援サービスでご相談いただけます。
