リース負債の計上額
借手は、リース開始日に、リース開始日において未払である借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除した現在価値で、リース負債を計上します(会計基準第33項・第34項)。
借手のリース料に含めるもの
借手のリース料は、次の5つで構成されます(会計基準第35項)。
- 借手の固定リース料
- 指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料(消費者物価指数に連動する賃料など)。リース開始日現在の指数・レートで算定します(適用指針第25項)。市場賃料の変動を反映するよう当事者間の協議で見直されることが契約で定められているリース料も含まれます(適用指針第24項)
- 残価保証に係る借手による支払見込額(保証額そのものではなく、支払を見込む額)
- 行使することが合理的に確実な購入オプションの行使価額
- 解約違約金(リース期間に解約オプションの行使を反映している場合)
売上高に連動する賃料や、使用量に連動する賃料は、リース負債に含めず、発生時に損益に計上します(会計基準BC42項、適用指針第51項)。また、リースを構成しない部分に配分した対価は含めません(会計基準第19項)。
指数又はレートに応じて決まる変動リース料は、合理的な根拠をもって将来の変動を見積れる場合、見積った指数・レートで算定することもリースごとに選択できます(適用指針第26項)。IFRS第16号にはない日本独自の取扱いで、選択した場合は注記が必要です。
割引率
リース負債の現在価値の算定に用いる割引率は、次のとおりです(適用指針第37項)。
- 貸手の計算利子率を知り得る場合:貸手の計算利子率
- 知り得ない場合:借手の追加借入に適用されると合理的に見積られる利率
追加借入利子率には、例えば、借手のリース期間と同一期間のスワップレートに借手の信用スプレッドを加味した利率や、新規長期借入金等の利率(契約時点、契約月の月初・月末、契約月や半期の平均など)が含まれます(適用指針BC66項)。
使用権資産の計上額
使用権資産は、リース負債の計上額に次の項目を加減して計上します(会計基準第33項、適用指針第18項)。
| 加減 | 項目 |
|---|---|
| + | リース開始日までに支払った借手のリース料(前払リース料) |
| + | 付随費用(当初直接費用など) |
| + | 資産除去債務に対応する除去費用(原状回復費用など)(適用指針第28項) |
| - | 受け取ったリース・インセンティブ |
敷金・建設協力金・借地権
- 敷金:将来返還される差入敷金は取得原価で計上します(建設協力金と同様の処理も可)。返還されないことが契約上定められている金額は使用権資産の取得価額に含めます(適用指針第33項・第34項)。
- 建設協力金など:将来返還される差入預託保証金は、返済期日までのキャッシュ・フローを割り引いた現在価値で当初認識し、支払額との差額を使用権資産の取得価額に含めます。当初時価と返済額との差額は受取利息として配分します(適用指針第29項)。設例14では、建設協力金20,000千円を5%で割り引いた14,410千円を長期貸付金、差額5,590千円を使用権資産としています。
- 借地権の設定に係る権利金等:使用権資産の取得価額に含め、原則として借手のリース期間で償却します。旧借地権・普通借地権の権利金等は、一定の場合に償却しない取扱いも認められています(適用指針第27項)。
計算例
設例9-1の借手の例です。月額リース料1,000千円(毎月末払い)、借手のリース期間5年、借手の追加借入利子率年8%の場合、借手のリース料60,000千円の現在価値は次のとおりです。
1,000 ÷ (1 + 0.08 × 1/12) + 1,000 ÷ (1 + 0.08 × 1/12)2 + … + 1,000 ÷ (1 + 0.08 × 1/12)60 = 49,318千円
リース開始日の仕訳(単位:千円)
| (借)使用権資産 | 49,318 | (貸)リース負債 | 49,318 |
リース料総額60,000千円との差額10,682千円が、リース期間にわたって配分される利息相当額です。配分の方法は利息の配分と使用権資産の償却で解説します。
支払が前払い(当月分を前月末に支払)の場合は、初回の支払が割り引かれないため、同じ条件で49,647千円となります(設例9-2)。残価保証がある場合は、支払見込額を借手のリース料に含めて割り引きます(設例11)。
理解度チェック
次のうち、使用権資産の計上額に
含めないものはどれですか?
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答え:C 将来返還される差入敷金は、取得原価で別に計上します。返還されないことが契約上定められている金額は、使用権資産の取得価額に含めます(適用指針第33項・第34項)。
本記事は、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(いずれも2024年9月13日 企業会計基準委員会)をもとにした一般的な解説です。個別の取引への当てはめは、事実と状況に応じて判断が必要です。判断に迷う場合は、新リース会計適用支援サービスでご相談いただけます。
