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新リース会計の解説 02

リースの識別 
契約にリースが
含まれるかの判断

「特定された資産」と
「使用を支配する権利」の
2つの要件と、リースを構成しない部分の
区分を解説します。

リースを含むかどうかの判断

契約の当事者は、契約の締結時に、その契約がリースを含むか否かを判断します(会計基準第25項)。契約が特定された資産の使用を支配する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する場合、その契約はリースを含みます(第26項)。

契約の名称は問いません。「賃貸借契約」「リース契約」だけでなく、業務委託契約や物流契約、IT関連の契約などに、リースが含まれている場合があります(会計基準BC14項)。

判断は、次の2つの要件で行います(適用指針第5項、[設例1])。

  1. 資産が特定されているか
  2. 特定された資産の使用を支配する権利が、使用期間全体を通じて顧客に移転しているか
    • 顧客が、資産の使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利を有しているか
    • 顧客が、資産の使用を指図する権利を有しているか
  1. 1

    資産は特定されているか?

    いいえ → リースを含まないサプライヤーに実質的な代替権がある場合など(適用指針第6項・第7項)

  2. 2

    使用期間全体を通じて、使用から生じる経済的利益のほとんどすべてを享受する権利があるか?

    いいえ → リースを含まない

  3. 3

    使用期間全体を通じて、資産の使用を指図する権利があるか?

    いいえ → リースを含まない使用方法を指図できる、又は使用方法が事前に決まっていて顧客が稼働・設計している場合は「はい」(適用指針第8項)

  4. リースを含む
リースの識別の流れ(適用指針第5項〜第8項・設例1をもとに作成)

なお、契約期間中は、契約条件が変更されない限り、リースを含むか否かの判断を見直しません(会計基準第27項)。

要件1:特定された資産

資産は、通常は契約に明記されることにより特定されます。ただし、契約に明記されていても、次の両方を満たすときは、サプライヤーが資産を代替する実質的な権利を有しており、特定された資産に該当しません(適用指針第6項)。

  • サプライヤーが、使用期間全体を通じて資産を他の資産に代替する実質上の能力を有している
  • 代替によってサプライヤーが経済的利益を享受する(代替による経済的利益が、代替のコストを上回ると見込まれる)

また、顧客が使用できる資産が物理的に別個でなく、資産の稼働能力の一部分である場合は、原則として特定された資産に該当しません。ただし、その稼働能力が資産の稼働能力のほとんどすべてである場合は、特定された資産に該当します(適用指針第7項)。

要件2:使用を支配する権利

顧客が使用期間全体を通じて特定された資産の使用を指図する権利を有しているのは、次のいずれかの場合です(適用指針第8項)。

  1. 顧客が、使用から得られる経済的利益に影響を与える資産の使用方法を指図する権利を有している場合
  2. 使用方法に係る決定が事前になされており、かつ、次のいずれかである場合
    • 顧客のみが、資産を稼働する権利(又は第三者に指図して稼働させる権利)を有している
    • 顧客が、使用期間全体を通じた使用方法を事前に決定するように、資産を設計している

判断の例(設例から)

契約判断ポイント
鉄道車両:種類のみ指定、サプライヤーが自由に入れ替え可能(設例2-1)リースを含まない代替する実質的な権利がある
鉄道車両:契約で指定、入れ替えは保守・修理時のみ(設例2-2)リースを含む代替の能力がない
小売区画:移転コストを貸手が負担し、移転の経済的利益がほぼ見込めない(設例3-2)リースを含む代替による経済的利益がない
ガスタンク:容量の70%を使用(設例4-1)リースを含まない稼働能力の一部分
ガスタンク:容量の99.9%を使用(設例4-2)リースを含む稼働能力のほとんどすべて
自社敷地のサーバー:使い方・保管データを顧客が決定(設例5-2)リースを含む使用方法を指図する権利
顧客が設計した太陽光ファーム(設例6-3)リースを含む顧客が資産を設計している

見落としやすい契約

審議の過程では、自動車のリース、事務所等の不動産賃貸借契約、賃貸用住宅事業のサブリース契約、定期傭船契約について、サービス性が強いとの懸念が示されましたが、サービスの要素を区分した後に、リースの定義を満たす部分が含まれる場合があるとして、IFRS第16号と異なる取扱いは設けられていません(会計基準BC31項)。

実務では、次のような契約にリースが含まれていないかを確認します。

  • 物流の業務委託で、特定の倉庫や車両を専用で使用している契約
  • ITサービス契約で、自社内に設置した特定の機器を専用で使用している契約
  • 製造委託で、委託先の特定の設備を自社製品の製造だけに使用している契約
  • 駐車場、社宅、倉庫スペース、看板・広告スペースなどの賃借

契約書の件名だけで判断せず、「どの資産を」「誰が」「どう使うか」を契約書の条文から読み取ることが重要です。

リースを構成しない部分の区分

リースを含む契約は、原則として、リースを構成する部分と構成しない部分(保守・メンテナンスなどのサービス)に分けて会計処理します(会計基準第28項)。

  • 借手は、契約の対価を、それぞれの部分の独立価格の比率で配分します(適用指針第11項)。
  • 固定資産税・保険料など、借手に財又はサービスを移転しない活動やコストの支払は、対価から控除せず、両方の部分に配分します(適用指針第11項、BC18項)。
  • 借手は、対応する原資産の科目ごと(又は性質・用途が類似する原資産のグループごと)に、区分せずに合わせてリースを構成する部分として処理することを選択できます(会計基準第29項)。この選択は会計方針として注記します(適用指針第97項)。

設例7では、契約対価81,000千円を、リース部分の独立価格72,000千円と役務部分の独立価格18,000千円の比率で配分し、リース部分64,800千円、役務部分16,200千円としています。区分しない便法を選択すると、81,000千円全額がリース負債・使用権資産の対象となります。

理解度チェック

契約にリースが含まれると
判断されるのは、
どのような場合ですか?

答えと解説を見る

答え:B 契約の名称は問いません。「特定された資産」と「使用を支配する権利」の2つの要件で判断します(会計基準第26項、適用指針第5項)。業務委託などの契約に含まれることもあります。

本記事は、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第33号「リースに関する会計基準の適用指針」(いずれも2024年9月13日 企業会計基準委員会)をもとにした一般的な解説です。個別の取引への当てはめは、事実と状況に応じて判断が必要です。判断に迷う場合は、新リース会計適用支援サービスでご相談いただけます。

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